目次
古くから農作を行ってきた日本では、四季の移り変わりによって
天候や気候に左右される農作物の収穫を願う行事が行われたり
季節の旬の恵みを取り入れることで健康にすごす、など季節と
と密接に関わってきました。
その春夏秋冬という4つの季節をさらに細かく分け、季節の
より詳しい特徴を表す、二十四節気というものがあります。
24節気とは?
二十四節気(にじゅうしせっき)は、1年を24等分し、15日ごとに
分割(節気)したものです。
それぞれの節気は「立春」「啓蟄」など天候や生物の状態を表し、
季節の目安とされてきました。
しかし、実際の季節感とずれを感じることもあります。
たとえば、大寒のあとの立春が「暦の上では春です」と言っても、
いまひとつピンとこないでしょう。
これは、二十四節気が古代中国の文化の中心だった黄河流域で
作られたもので、中国華北地方が、日本の東北北部と同じ緯度の
寒冷な気候であること、また気温の変化が日照の変化より2週間
ほど遅れるためです。
2020年の24節気一覧!読み方や意味・行事の食べ物!
では、来年の24節気は具体的にいつになるのでしょうか?
また読み方や節気ごとの意味はどのようなものでしょうか?
その節気で行われる行事の食べ物も紹介していきます。
【立春】 りっしゅん:2月4日頃
寒さは厳しいながら、陽ざしが春めいてくる頃です。この日から
暦の上では春となります。
立春の前日が「節分」です。
立春を過ぎてから初めて吹く強い南風を「春一番」といいます。
節分の食べ物は?
節分には、その年の縁起のいい方角、恵方に向かって恵方巻を食べます。
恵方巻は、大正時代に大阪の商人や花街で発祥した風習に由来すると
いわれ、当時は、お新香を海苔巻きにし、商売繁盛を願って食べられ
たそうで、景気づけの意味あいが強かったようです。
やがて、それを大阪の海苔や寿司業界が関西地方に広め、メディアや
流通業界の影響もあり、現在は全国的な風物詩となっています。
また、食べ物ではありませんが、生臭い臭いと、痛いトゲが大の苦手
な鬼が家に入って来ないよう鰯の頭を焼いて臭いを強くしたものを
柊の枝に刺し、それを玄関先につける風習があります。
昔から臭いの強いもの、トゲのあるものは魔除けや厄除け効果がある
とされています。
【雨水】 うすい:2月19日頃
雪から雨へと変わり、降り積もった雪もとけだす頃、という意味です。
【啓蟄】 けいちつ:3月5日頃
大地も暖まり、冬ごもりから目覚めた虫が、穴をひらいて顔を出す頃です。
「啓」はひらく、「蟄」は土の中にとじこもっていた虫
(蛙や蛇)という意味です。
【春分】 しゅんぶん:3月20日頃
昼夜の長さがほぼ同じになる日。この日を境に陽が延びていきます。
春の彼岸の中日で、祝日。先祖のお墓参りをする習慣があります。
春の彼岸の食べ物は?
彼岸には「ぼたもち」を食べます。
これは、春に咲く牡丹の花にちなみ、春は「ぼたもち」といい、
「牡丹餅」と書きます。ちなみに秋は萩の花にちなんで「おはぎ」
といい、「御萩」と書きます。
おもちは五穀豊穣、小豆は魔除けに通じることもあり、
日本の行事に欠かせないものとなっています。
【清明】 せいめい:4月4日頃
花が咲き、鳥はさえずり、空は青く澄みわたり、爽やかな風が吹き、
すべてのものが春の息吹を謳歌する頃です。清明は「清浄明潔」の略で、
万物がけがれなく清らかで生き生きしているという意味です。
【穀雨】 こくう:4月19日頃
やわらかな春の雨に農作物が潤う、という意味です。
この時期に農作物の種をまくと、雨に恵まれ、よく成長すると
いわれます。
【立夏】 りっか:5月5日頃
新緑に彩られさわやかな晴天が続く頃です。この日から立秋の前日までが
暦の上では夏となります。
こどもの日=端午の節句の食べ物は?
端午の節句には、ちまきを食べます。今から2300年ほど前の中国の
故事にちなみ、災いを除ける風習として日本に伝来しました。
端午の節句には、柏餅も食べますが、柏餅は日本独特のもので、
江戸時代に江戸で生まれました。
柏が昔から神聖な木とされていたこと、新芽が出ないと古い葉が
落ちないことから、「子供が生まれるまで親は死なない」、
つまり「跡継ぎが途絶えない」「子孫繁栄」となり、
縁起のいい食べ物となりました。
【小満】 しょうまん:5月20日頃
陽気がよくなり草木が成長して茂るという意味です。
農家では田植えの準備を始める頃です。
【芒種】 ぼうしゅ:6月5日頃
イネ科植物の穂先にある毛のような部分を「芒」といい、
穀物の種をまく時期という意味で、田植えの目安とされていました。
【夏至】げし:6月21日頃
北半球では、太陽高度が最も高く、1年で最も昼が長い日です。
暦の上では夏の折り返し地点にあたり、夏至を過ぎると暑さが
増して本格的な夏がやってきます。
夏至の食べものは?
夏至の時は、太陽が真南に来る時の南中高度が最も高いため、
古くから、夏至に太陽の力が最大になると考えられてきました。
そこで、太陽の恵みに感謝し、豊作を祈願するようになり、
夏至から11日目の半夏生(はんげしょう)までに田植えをする
習わしができました。
そして、田植えが終わると小麦餅を作って供えるようになりました。
関西では、この小麦餅を「半夏生餅(はんげしょうもち)」
といいます。
また、関西には稲の根がタコの足のように強く深く、広く根付くこと
を願い、タコを食べる風習があります。
愛知には、不老長寿の果物といわれたイチジクを田楽踊りに由来する
味噌田楽にして食べるところもあるそうです
【小暑】 しょうしょ:7月7日頃
だんだん暑さが増していく頃です。梅雨明けも近くなり、
湿っぽさの中にも夏の熱気が感じられるようになります。
【大暑】 たいしょ:7月22日頃
暑さが最も厳しくなる頃です。大暑と小暑を合わせたおよそ1ヶ月を
「暑中」といい、暑中見舞いを出す期間です。立秋前の18日間が夏の
「土用」です。
土用の食べ物とは?
四季の変わり目の土用が年に4回ありますが、主に
夏の土用(7月20日頃から8月6日頃)をさすことが多く、
大暑に重なるため、厳しい暑さを乗り切るために体に
いいものを食べる「食い養生」の風習がうまれました。
土用といえば「土用の丑の日」のうなぎが有名ですが、
「丑の日」にちなみ、「う」のつくものが体にいいと
されました。
他にも、疲れを取り、食欲を増進する「梅干し」や体の
熱を取る「瓜」、さっぱりとして食べやすい「うどん」
もいいとされます。
【立秋】 りっしゅう:8月7日頃
厳しい残暑が続きますが、これから少しずつ涼しくなり、
秋の気配が漂いだす頃です。この日から暦の上では秋となります。
立秋を過ぎたら「暑中見舞い」は「残暑見舞い」に変わります。
暑気払いにいい食べ物は?
残暑を乗り切るために暑気払いをする人も多いでしょう。
暑気払いとは、「暑さをうち払う」ために、体に溜まった熱気を
とり除くことをいいます。暑気というように、弱った気
(エネルギー)を元に戻して「元気」になろうということです。
6~7月に収穫される麦は、ビタミン、ミネラル、タンパク質不足で
起こる夏バテに効果的な栄養を補ってくれるので、冷麦やそうめんは、
夏バテ予防に効果的です。
現代の暑気払いに欠かせないビールは、まさに麦(大麦)なので、
体を冷やし、利尿作用で不要なものを体から出してくれる優れもの
と言えます。
瓜の仲間、西瓜(すいか)、胡瓜(きゅうり)、冬瓜(とうがん)、
苦瓜(ゴーヤ)、南瓜(かぼちゃ)は、夏が旬の食べ物です。
西瓜や胡瓜は体の熱を下げ、利尿作用で余分な水分を出してくれます。
苦瓜はビタミンCが豊富で、夏バテ防止になります。
冬瓜は、冬までもつことから付いた名で、古くから暑気払いによい
食べ物とされていました。南瓜は栄養豊富で糖質も多く、保存性が高いため、
冬至に食べる風習もうまれました。
【処暑】 しょしょ:8月23日頃
暑さがおさまるという意味で、暑さも峠を越え、
朝晩の涼しさに初秋の気配を感じる頃です。
【白露】 はくろ:9月7日頃
草花に朝露がつき、秋の趣が深まる頃です。
空は高くなり、秋雲がたなびき、本格的な秋の到来となります。
中秋の名月のお供え物は?
月が風雅の対象としてだけでなく、信仰の対象でもあったので、
お月見にお供えものをするようになりました。
月見団子は、穀物の収穫に感謝し、米を粉にして丸めて作ったのが
始まりです。
月に見たてて丸い団子ですが、地域によりさまざまな月見団子があります。
十五夜は、里芋などの芋類の収穫を祝う行事でもあるため「芋名月」ともいい、
里芋やさつまいもなどをお供えします。
【秋分】 しゅうぶん:9月22日頃
昼夜の長さがほぼ同じになる日です。この日を境に冬至まで昼が短くなり、
少しずつ秋へと移行していることが感じられます。秋の彼岸の中日で、
国民の祝日です。
お彼岸にお供えするものは?
お彼岸にはお墓参りをする風習があります。お供えものの定番に
「おはぎ」があり、春分にいただく「ぼたもち」に対して、この
時期に咲く萩の花にちなみ、そう呼ばれます。
【寒露】 かんろ:10月8日頃
草木に冷たい露が降りる頃です。秋も本番を迎え、紅葉も始まります。
稲刈りが終わるころで、その他の農作物の収穫もたけなわとなります。
【霜降】 そうこう:10月23日頃
早朝に霜が降りはじめる頃です。秋も深まり、
北の方では、朝霜が降り、山々は紅葉に染まります。
【立冬】 りっとう:11月7日頃
この日から暦の上では冬となります。木枯らしが吹き、冬の訪れを
感じる頃です。太陽の光が弱まって日が短くなり、冬枯れが目立つ
ようになります。
【小雪】 しょうせつ:11月22日頃
日を追うごとに寒さも増し、山には初雪が舞い始める頃です。
冬とは言えまだ雪はさほど多くないという意味で、冬の
入口にあたります。
【大雪】 たいせつ:12月7日頃
山々に雪がかぶり、平地にも雪が降る頃です。本格的な冬の到来で、
動物たちも冬ごもりを始めます。
【冬至】 とうじ:12月21日頃
太陽が最も低い位置にあり、1年で最も夜が長く、昼が短い日です。
太陽の力が最も弱まる日ですが、翌日からは再び強まることから、
運が向いてくるとされます。
冬至に食べるとよいものは?
冬至にはんのつくものを食べると運が呼びこめると
いわれています。にんじん、だいこん、れんこん、うどん、ぎんなん、
きんかんなど「ん」のつくものを運盛り といい、縁起をかついで
いました。
また運盛りは縁起かつぎだけでなく、かぼちゃにはビタミンAや
カロチンが豊富なので、風邪や中風(脳血管疾患)予防に効果的
です。
かぼちゃの旬は夏ですが、長期保存が効くことから、栄養を摂って
冬を乗り切るための賢人の知恵でもありました。
【小寒】 しょうかん:1月6日頃
池や川の氷もより厚くなり、寒さが厳しくなる頃です。この日を
寒の入りといい、寒さの始まりを意味します。
節分(立春の前日)までを「寒中」「寒の内」といいます。
【大寒】 だいかん:1月20日頃
冷え込みもはげしく、寒さが最も厳しい頃です。
小寒と大寒をあわせたおよそ1ヶ月を「寒中」といい、寒中見舞い
を出す期間です。24節気の最後の節気です。
大寒に作られる食べ物は?
寒の水は雑菌が繁殖しにくいため、酒、醤油、味噌を仕込むのに
適しており、寒仕込みと呼ばれ、発酵もゆっくり進むので、
味に深みが出ると珍重されるようになりました。
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まとめ
24節気の行事や食べ物を紹介してきましたが、いかがでしたか?
日本人は縁起をかついだり、旬の食べ物をとることで、時には
厳しくもある季節とうまく付き合って来たのですね。
この恵まれた四季を見直し、楽しく過ごしていきたいものですね。